ニューメキシコ州の蛍石

 

ニューメキシコ州の蛍石はBingham又はBlanchard鉱山の青~紫色の蛍石が有名ですが、他にもMex-Tex鉱山や紫色の八面体結晶で有名なthe Pine Canyon depositなどが知られています。

 特に現状で流通しているアメリカの青い蛍石のうちの何割かはこのBlanchard鉱山を含むthe Hansonburg minig地区のものだと思います。

ただこれら以外にも面白い蛍石を産出する鉱山がわりとあり、集めるとこれまたキリがなさそうな産地でもあります。

 


Blanchard Mine

Blanchard Mine, Bingham, Socorro Co., New Mexico, USA

20mm wide

 

青い蛍はなんでも人気になるご時世ですが、ニューメキシコ州ビンガム近隣から産する青い蛍石も一世を風靡したものです。ビンガムブルーとも称される濃青が魅力的な劈開八面体は蛍石コレクター以外からもよく認知されています。

とはいえ二昔前は、イリノイ州やフランスの青い蛍石と比較すると安価に手に入る良質な蛍石標本としても知られたわけですが、近年ではニューメキシコ州の蛍石も決して容易かつ安価に入手出来るものでは無くなってしまいました。

鉱物標本としてのニューメキシコ州の蛍石はBlanchard鉱山が最もよく知られています。その

独特の青や青紫色は見慣れれば、あ〜これはニューメキシコだねとすぐわかるようになるほど。

また紫外線で青紫色に蛍光する一方、日光や紫外線下に放置しておくと褪色しやすい産地の様です。

この標本はとても小さいものですが、同地のものとしては色乗りと透明度が大変良いサンプルです。バランスもいいしね!インスタグラムに投稿したらバズってて笑いました。

(2022/4/1)


Royal Flush Mine

Royal Flush Mine Fluorite 蛍石 アメリカ

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Royal Flush Mine, Garden Spring Canyon, Bingham, Hansonburg District, Socorro Co., New Mexico, USA

42mm×32mm×40mm  Largest =18mm

 

ちょくちょく見かけるRoyal Flush鉱山の青色蛍石。

 

水晶の母岩上に大小十数個の青色蛍石が表裏両面についています。

同じニューメキシコ州のBlanchard鉱山の青色蛍石と比べると、色も綺麗なマリンブルーで照りも良く魅力的。

よく見ると数本の濃青色ゾーニングや、hexoctahedral(三枚目)になっていることがわかります。

 

このRoyal Flush鉱山も鉛を目的とした鉱山で、前述のBlanchard鉱山と同じくBingam,New Mexicoに位置しています。

Blanchard鉱山よりも鮮やかな青色蛍石を産出するようで、その分人気も高いが13年のデンバーショーで良品が一定数放出されたようです。これもそのうちのひとつ。



Mex-Tex Mine

Snake Pit Group, Mex-Tex Mine, Bingham, Hansonburg District, Socorro Co., New Mexico, USA

43mm×33mm×22mm

Ex. Carolyn Seitz Collection #F476


NM州のわりと有名なMex-Tex鉱山の蛍石。

色合いはシーブルーが一番近いだろうか。ただ写真にその色合いをはっきりととらえるのが難しく(100枚くらい撮ってはみたんですけどね。)、どうしても青色が強い写真になってしまった。

実物はちょっとだけ緑が差していて、端っこはちょっとだけ紫色というなんというか。

とってもとらえづらいパステルカラー。

この鉱山の例にもれず、ほぼ六面体の結晶で表面がざらっとエッチグをされていています。


Mex-Tex鉱山は有名なBlanchard鉱山の2kmほど北に位置していて、無色~パステルグリーン、パープル、ブルーなどの色合いの蛍石を産出します。

表面がざらざらっとエッチングを受けていたり、丸みを帯びたものが多い印象です。

ちなみに Carolyn Seitzという女性のコレクションは今年2014年に、結構いろいろな店舗で売りに出されているのを見かけまして、もしかしなくてもコレクション放出したのでしょうかね。


Last Chance Mine

last chance mine fluorite 蛍石 アメリカ

Last Chance Mine, Gila Fluorspar District, Grant Co., New Mexico, USA

75mm×50mm×39mm

 

NM州の緑色をした八面体蛍石。

暗めに写ってしまいましたが、透明感のある割と綺麗めな緑色。

八面体の表面は微細なステップとなっており、白く写る微細な水晶との組み合わせはちょっぴり雪化粧の山にも見えます。

(またの名を宇治金時カラー)

バックライトを当てあげると鮮やかなライトグリーン。

 

Last Chance Minetとカッコいい名前の鉱山ですが、産出する蛍石は緑色の多かれ少なかれステップを伴った八面体が多い感じのようです。

New Mexico州の蛍石というとどうしてもBlanchard Mineの様な青いものを想像してしまいますが、こういうのもあるのよ~というこで一つ。


Double Strike Prospect

Double Strike Prospect,  Grant Co., New Mexico, USA

Collected in 2020

4cm wide

 

ニューメキシコ州の蛍石。新産である。

マイナーではあるものの、ずっと以前より蛍石標本が知られた地でした。

ところが、ツーソンも終わった2020年春先、コロナ禍が徐々に大きな存在と障害となり始め、今年は海外ショーに行くのも、ひょっとすると開催も(実際そうなってしまったわけですが・・・)難しいかもしれんなぁと思っていた矢先に、これらの新産情報がでて少し心が躍ったのを覚えています。

数年前のマゼンダパープルの八面体の蛍石、2019年の”キウイ”カルサイトを送り出した、精力的なグループがまたやってくれたわけです。

この産地の特徴は若干みどりの入ったような水色と、(110)面による白く濁ったエッジです。結構特徴的ですよね。ある程度蛍石をあつめていれば「ニューメキシコ州だろうなあ」とは感じるでしょうけれども、「産地はわからんぞ…」となるであろう、楽しい標本です(笑)

(2020/11/13)


Black Knife Mine

Black Knife Mine, Cuchillo Negro, Sierra Cuchillo, Sierra Co., New Mexico, USA

Thumbnail Sized

 

ブラックナイフの歴史は比較的古く、米墨戦争を経て、いまだアメリカ準州であった1880年代までさかのぼります。ちょうどリンカーン郡戦争が終結した頃でしょうか。(リンカーン郡の煙水晶やその日本式双晶もまた有名ですよね。)当時は黄銅鉱やマラカイト、石英に含まれる金などを目的としていたようです。

 

ですけれども、21世紀の我々鉱物コレクターにとってブラックナイフと言えば、方解石の水晶仮晶ですよね。

断続的に産出はあるようです。どこのミネラルショーに出かけても見かけるような普遍的な標本ではありませんが、方解石が抜け殻になり、時に焦げたかのような茶色や黒色となることもあって、一度見ると何となく頭に残るタイプの標本とは言えるでしょう。ちなみにこの茶色はモットラム鉱だと言われていますが、真偽は不明です。

そして何より、時折蛍石を伴うんですよね。フロストな感じのミントグリーンの蛍石が。これがまた「可愛い」んです。

 

というわけで極最近、数名のコレクターが新しく標本をとってきたものの一つがこの標本です。

方解石の抜け殻をミントグリーンの蛍石が覆う可愛いやつです。これらの標本も、本来なら2021年のツーソンショーでお披露目となったのでしょうが、コロナ禍のため中々難しいようですね。

Hope things get normal soon!

 

(2021/2/19)

 


Galena King Mine

galena king fluorite

Galena King Mine, Tijeras Canyon District, Bernalillo Co., New Mexico, USA

45mm

 

ニューメキシコ州、GalenaKing鉱山の青色蛍石(劈開片)

あくまで劈開片ですのでお値段も野口さん一枚未満のなのですが、目を引く濃青色だったので記事化しました。

同じNM州のBlanchard鉱山とは違った系統の青色で、色だけならこちらの方が好きだったりします。

 

この鉱山は、そのGalenaという名が示す通り方鉛鉱つまり鉛を目的とした鉱山ですが、方鉛鉱以外にも、重晶石や蛍石などを産出しています。

実のところ、この産地の蛍石は黄色や紫がメインのようです。それに、青色でしっかりとした結晶をなすものはレアもののようで、中々手に入らない。

 

追記:記事作成時から半年の間にこの鉱山の結晶(母岩付)の標本を数点みましたが、やはり色が今一つ…手ごろな価格で色も良く、形も追及するとなると厳しいようです。