オハイオ州の蛍石

 

イリノイを除くと、コンスタントに目にすることが多いオハイオの蛍石。基本的には茶色から透明な薄黄色が多く、中でもWhite Rock Quarryの蛍石は特に有名です。一方で、紫色のファントムが特徴的なAuglaize Quarryの蛍石もコレクターには人気があります。デンバーショーなど大抵現地の採集家から供給があった後に、日本国内でも一時的に流通量が増えるパターンだと推測しています。

 


White Rock Quarry

White Rock Quarry Fluorite 蛍石 アメリカ
White Rock Quarry(Edward Kraemer & Sons Inc. Quarry), Clay Center, Ohio

28mm×16mm×15mm Largest = 22mm

 

オハイオ州・Clay Centerの蜂蜜色蛍石。

サムネイルサイズですが、この産地の要素が詰まっているので見栄えは良いです。内部に茶色いファントムを伴いますが、この濃い茶色の部分は紫外線長波で白色に蛍光します。

久々にじっくり見てみたら結構欠けがあったので、これ以外にも欠けのないスマート!なものが一つ欲しい所。

 

この産地は、天青石を伴った黄色・茶色~”ルートビア”色の蛍石が産出されることで有名で、単純に"Clay Center"とラベルされていれば、たぶんWhiteRockQuarryのことなんだろうなぁ、といつも思っています。

また以前はthe Kelly Island Stone  Company Quarryの名で知られていたものです。

アメリカの蛍石の中ではここのものは良く流通している方だと思いますが、というのも2006年に良品が数千個産出したことも関係しているのでしょうか。



Auglaize quarry

Stoneco Auglaize quarry, Junction, Paulding Co., Ohio, USA

Thumbnail Sized

Ex. Paul and Dawn Dunning Collection

 

蛍石コレクターの間では有名なオハイオの紫色蛍石。

それのサムネイル標本かつクラスター。

砂岩の母岩上で存在感を示すとても綺麗なファントムは紫苑の色。

この産地のものは幾つも見ましたが、自分にはこのサムネイルが一番バランスが良く完成していると感じます。

 

Auglaize Quarryの紫色な蛍石は稀産とされ日本ではあんまり見かけませんでしたが、14年ツーソンショーより後で一時期でまわりました。しかしそれも一時的なもので、結局1年後にはまたレアものに逆戻り。こういう物は出たときに確保しないと厳しいということか、そういえばオハイオの蛍石と言えば以前はあれほど見かけたWhite Rock Quarryのものですら、良品はここ1年で高騰していますし。

なおこれは、コレクションから察するに80年代、90年代ぐらいのものでしょう。

Fluorite&Calcite from Auglaize quarry

Stoneco Auglaize quarry, Junction, Paulding Co., Ohio, USA

14mm×15mm×16mm

 

オハイオの有名な紫色の蛍石。とちょっぴり方解石。

外側はカラーレス、内部が紫色という独特な感じがとても好み。

ちなみに、有名な茶色いオハイオ産蛍石と違い、あんまり蛍光しない。

 

なお、この産地のものには炭化水素の薄い皮膜によってイリデッセンスを持つ蛍石が産出したり、この紫色の蛍石と組み合わせて産出してきたりします。

 

Auglaize Quarryの蛍石は同じオハイオの茶色い蛍石と違う綺麗さを誇るものの、そもそも稀産であるため日本ではあんまり見かけません。

と書いていますが、14年春ごろから日本でも大量に見かけたため「もしや…」と思ったら、案の定14年ツーソンショーで一定の放出があったようです。

この産地の蛍石は、以前業者に注文してお金を振り込んだ後に先方から”紛失したから返金させてくれ”というメールが届いて入手できなかったりと、因縁の産地なので入手できただけでもうれしい。

 

 



Bluffton Quarry

Bluffton Stone Co. Quarry, Bluffton, Richland Township, Allen Co., Ohio, USA


オハイオ州の中でも、見ないことはない産地Bluffton Quarryの蛍石。

苦灰岩(dolostone)にできた小さい晶洞ののなかに、紫色のジェミーな蛍石が何個も存在しています。

結晶のサイズは最大でも5mm前後とそれほど大きくはありませんが、幾つも散らばる様は見ごたえがあります。結晶をよく見ると、結晶の端は一際濃いワイン色になっているのが見て取れます。


このBluffton quarryは綺麗な紫or茶色がでるため上記のAuglaize Quarryと似ていますが、これまた綺麗な閃亜鉛鉱をともなったりすることや、そもそも産地のレア度という点で大きく違います。

この標本のようなファントムのある紫色の蛍石、ファントムを伴わない薄く紫色の透明~!な蛍石、オハイオらしい茶色い蛍石や、イリデッセントとよばれるような茶色い蛍石と大きく分けても4種類のタイプが産出しており、しかも綺麗な閃亜鉛鉱と共生したり(はたまた閃亜鉛鉱を内包したり!!!)、さらにはモディフィケーションもわりとありうるという夢のような産地でもあります。

しかし、その流通量のせいもあってかAuglaizeよりも流通量がかなり限られますし、そもそも知名度がないというそういう…。


Maumee

Maumee, Lucas Co., Ohio, USA

17mm×10mm×9mm

Ex; Paul and Dawn Dunning Collection

Attr: Stoneco Quarry

 

オハイオ州・モーミーの蛍石。

サイズは2㎝弱のサムネイルと少々小さいですが、色と照りがとても良い感じで、まさにシャンパンみたいな色合い。

良くあるオハイオ州・Clay centerの色合いと似ているけれど、なんだかちょっと違う、そんな印象です。

 

オハイオ州・Clay Centerの茶色い蛍石や、Auglaizeの紫色の蛍石はある程度有名ですが、ここMaumeeもやっぱりオハイオ州らしく茶色い系統の蛍石を産出し、サイズ的には大きくても2㎝程度のようです。