Erongo Mts. , Erongo, Namibia
Collected in 2018
白雲母の上にのった蛍石。2018年のミュンヘンの前後ぐらいから、今年にかけて比較的よく見かけたかと思います。そう粗雑に表現してしまえば『よくあるErongoですね』でまとめられてしまうわけですが、その質にもピンからキリまであるわけです。
この標本を粗雑にはならないよう表現してみるとするならば、バランスの良さはさておき、緑色を中心とした茶色と白色を含む綺麗さと、結晶の照りに特筆すべき点があるというところでしょうか。この一連のFindの蛍石は緑の鮮やかさと結晶の照りが併存しており、随所で評価されている、という風にも言い換えられるでしょう。(実際にそうですし)まぁ母岩は自らトリミングしたんですけどね。
シンプルだけど美的、と私の中では解釈している標本でした。
(2019/5/17)
Erongo Mts. , Erongo, Namibia
Collected in 2019
Miniature Sized
すこし黄色をおびた長石の上に蛍石が乗る標本。
いわゆる"エイリアン・アイ" タイプと評される緑のコアと黒の配色。しかしこれを見たとあるアメリカ人たちは"Frog on Log"と表現していて、そう言われるとそう見える反面、私自身が先入観で見方が一定の方向に誘導されてしまっていたのねと思った次第。
蛍石と長石のバランスは可愛いものです。さすがにこれは"長石の標本"、ではなく、"蛍石の標本"と言ってよいはずでしょう。
話は変わりますがつい最近Erongoでの採集の様子を動画で見る機会がありました。かなり深いところまで掘っているみたいで、これまた過酷な環境なんだなぁと思うばかりです。
(2019/8/23)
Erongo Mountain, Erongo Region, Namibia
25mm×22mm×17mm
クリアなグリーンに黒いファントムが綺麗なエロンゴらしい蛍石。
角度によってはエイリアンアイに見えなくもない、でも本家本元のエイリアン・アイとはやっぱり違うpseudo Alien Eye fluoriteとでもいうべき蛍石。少しでもエイリアン・アイに似ていればエイリアン・アイと称してしまいがちな現状はちょっと如何なものかとも思うところではあります。
ちなみに玉滴石がこそっとついており、ブラックライトを当てると黄緑色に怪しく蛍光してくれます。エロンゴではよくある共生の一つですね。
エイリアンアイに限らずこういった透明度や発色の良いエロンゴの蛍石はここのところ見かける機会が減りつつあります。Okorusu鉱山の蛍石も今後先細りとなってゆくのでしょうから、アフリカの蛍石といえば南アという時代が近づきつつあるのかもしれません。
ミニチュア&サムネイルコレクターからの放出品。
(7/14/2016)
Davib East Farm, Karibib District, Erongo, Namibia
Miniature Size
Ex. Herre Zondervan Collection
紫で網がけされた緑色の蛍石が長石にささった標本。
それと白雲母や金属光沢の判別できない鉱物が共生しています。コントラストやバランスが美しいですが、ベストビューは別アングルかもしれません。
産地は以前のコレクターのラベルに従ってDavib East Farmとしましたが、漠然ととらえるならErongo Mt.もの。エロンゴは全盛期に比べれば最早…とはいうものの、依然良質な標本が入手可能な産地です。蛍石コレクターならぜひ一つはコレクションに入れてほしいと思います。沼です。
ところでふと気が付けば我が家にあるこの地の蛍石、すべて緑色系統だったんです……紫は、あの、どこに……
(2017/7/22)
Erongo Mt., Namibia
Miniature Size
Ex. Heini Soltau Collection
一時産出が減ったように感じられ"Recent Classic"な産地になるのかと思っていたエロンゴの蛍石ですが、2018年から2019年はいたるところで見かけたように思います。この"Recent"なのに"Classic”という矛盾をはらんだ概念ですしね。「10年ぐらい前はよく見かけたのに!」という感覚をよく表しているとも思いますけれども。
それはさておき。エロンゴの蛍石の花形のひとつはスピネル式双晶であることは誰も異論を唱えないことでしょう。かといって、皆さんエロンゴのスピネル式双晶の蛍石で、母岩がついているものって見たことありますでしょうか?そう、殆どないと思うんですよね。大体が分離結晶で、ごくごく稀に長石母岩の標本がでてくるというところ。
さてここに、一つ用意してみました。微妙に色気をだしてか、ペグマタイトらしくなのか、かなり小さいアクアマリンを付着させて。蛍石はかなり薄い水色に紫を混じらせた、3cmほどの結晶。あーこういう感じで産出するのね、と納得を覚える標本なのでした。
(2020/2/7)
Erongo, Omaruru District, Namibia
Thumbnail Sized
Ex. Stefan König collection Mined c. 2009
Erongoの茸みたいな蛍石。あるいはSepter Fluoriteととも。確かに水晶などではよくあるセプターみたいに見えなくもない。
一説によると2008年から2009年ごろにワンポケットだけ空いたといわれますが、このワンポケットのみという部分はよくあるとおり真偽不明。ただ確かに10年ほど経過してほぼ見かけなくはなりました。
どの標本もたいてい頭が無色に近く、柄の部分は緑色や一部に紫が混じります。色の組み合わせとしてはクリームソーダですね。この標本の裏側にもほんのちょっぴりだけ紫が入っています。
元あった蛍石の結晶がエッチングをうけていく過程でこんな形になったんだとか。ただ、脚光を浴びた後、一時蛍石を削り出して形を似せたFakeが出回ったともされます。まぁ確かに「明らかに偽物だろこれ。」というのも世の中には存在したり。この標本に関してはエッチングを受けたんだろうなぁという表面が見て取れるので、Fakeということはないでしょう。きっとね。
ちなみに私はタケノコの里派です。当然ですよね?エッ…キノコノヤマハダッテ……?
(2019/1/11 編)
Erongo Mt., Namibia
Mined in late 2022
4.5㎝ wide
Photo by Kiyoshi Kiikuni
2023年ツーソンショーの一部で話題となった、俗に"スピネル式双晶"と呼びならわされる蛍石。2022年の11月から12月にかけて良質なそれらの蛍石のポケットが開いた模様。これまでもこの手の蛍石は何度もErongo Mt.では出ているわけで、今回話題になったのはその色合いが、紫と緑で美しいとか、結晶がシャープだとかそういうのもあるのでしょう。この標本も滅茶苦茶結晶はシャープで、何よりその色。Erongoの蛍石はバックライトを当てないと、くすんだ汚い色の標本が多いのが正直なところですが、これは見た目そのまんま。室内でもこの色鮮やかさ。おかしいでしょ。その上、白雲母のアクセント。ユニバース!
(2023/7/4)
Okorusu Mine, Otjiwarongo District, Otjozondjupa Region, Namibia
Ex. Art Soregaroli Collection
33mm×32mm×28mm
Okorusu鉱山の典型的かつクラシックな標本。
光源を用意しなければ暗め青いだけの蛍石と言った風情ですが、ほんのちょっぴり光にかざすだけで綺麗なティールブルー(鴨の羽色)とそのファントム、緑色と紫色の混ざり合った極彩色をみせてくれます。この極彩色ゆえにOkorusuの蛍石は容易にOkorusuの蛍石だろうと推測でき、蛍石界のユニークなのかも。
Okorusu鉱山の発見はドイツ領南西アフリカ時代で、1920年代前後から少量ではあるものの蛍石の採掘がおこなわれていたとのこと。
緑や青、紫が混じった複雑な色合いをなすものが多いですが、黄色単色やワインレッドと黄色のファントムが独特の物なども存在しています。
形状としては立方体式の結晶が多く、物によっては角が階段状になっているものも。
この有名なナミビアの蛍石鉱山も近年閉山の話がでまわっており、蛍石を集めるにも世知辛い世の中と感じざるをえません。
なおこの標本から、撮影環境を大幅に更新しました。慣れません。
(3/31/2016)
Okorusu Mine, Otjiwarongo District, Otjozondjupa Region, Namibia
Ex. Dr. Art Soregaroli Collection
Small Cabinet SIzed
緑から青、そしてわずかに紫のカラフルな、クラシックで美しいOkorusu鉱山の蛍石。
最大の結晶で26mm、裏からひかりを当てるともっと美しいんです。
美しさに加えて前の持ち主のストーリーまで含めて、価値ある標本。うちのような日本の一般家庭では置き場所に困り始める、スモールキャビネとサイズ、というかほとんどキャビネットサイズとも言いますが笑
Okorusu鉱山のちょっとした説明は上にある記事に記載してありますので、こっちはDr. Art Soregaroli氏について少し。氏は1933年アイオワ州の生まれで、大学を卒業後にカナダ移ったのち終生カナダにいた凄い人です。どれくらい凄いかはここに短く記載できるものではないので、調べてみてください。2017年に亡くなられた際の追悼記事(英語)などをみるといいかと思いますが、その一例をここに挙げておくと、今私の大好きなPanasqueiraの標本を気軽に入手できるのも彼の力によるところも大きいのです。
(2018/5/20)
Polish Prodigy Pocket, Okorusu Mine, Otjiwarongo District, Otjozondjupa Region, Namibia
Mined in August 2010
3.5㎝ wide
「ありふれているうちに、購入できる金額の中で、最大限良い標本を選んで買う。」
これは鉱物趣味における格言だ。誰かから聞いたような気がするし、まぁそうでなくてもあながち間違ってはいないだろう。じゃあ「ありふれているうち」を逃すとどうなるか。こうなるのである。
2024年現在、オコルス鉱山の蛍石標本全般が熱を帯びている。10年前のありふれた様子を知っているものからすると、過熱しているといってもいいだろう。もともと1980年代に産した青緑の標本は人気で稀少だったが、それ以外はありふれたものだったのだ。しかし、2017年に登場したPolsigh Prodigy Pocketの標本は、世に出た瞬間から特別だった。この幾何学的で毒々しい模様。強烈としか言い表しようがなかった。2010年にMark Kielbasoらが掘り出して7年間いろいろ温めていたというストーリーも面白かった。当然人気は雪だるま式に増えていった。良質な標本は100個も存在しないとされ、今では欠片だろうと高値で取引される始末。それでも2019~20年頃なら、まだ現在よりは随分常識的な価格で入手することが可能だった。スモールキャビネットであれば、実際その機会は複数回あった。しかし、当時のモスはことごくメダパニ状態を起こした。「独特だけど、でかいプレート標本だしいらんわ。4㎝くらいの標本がほしいわ。そのうち出てくるでしょ」と。馬鹿である。大馬鹿である。手に入れてから考えておけばいいんだよ。格言に従えよ。その結果がどうだ。初めて見てから7年経ってようやく入手はできた。ダメージはあるし、Top Notchではないが、このサイズはなかなかないから、これでいいのだ。
つまり何が言いたいか。まだ出てくるでしょは地雷。ほしけりゃ買え。買ってから考えろ。
(2024/2/4)
Brandberg Mt., Dâures, Namibia
Collected in February/2020
Thumbnai Sized
ナミビアの新産蛍石。
昨年も大量の蛍石がErongo Mt.から出回ったので、「はいはいまたErongo Mt.ね」と思うかもしれませんが、違います。"Brandberg Mt."なんです。
Okorusu鉱山でもなく、紫水晶や、セプター水晶で有名なあの ”ブランドバーグ” なんです。
コレクターからすると「ラベルミスだろ?」と突っ込みたくなる気持ちも頷きたくなりますけれどもね。
実際は数年に1度ぐらいの感覚で出回ります。小さいポケットが開いたりするのでしょう。
今回は2020年2月に新しいポケットが開き、過去のものと比較して綺麗な標本だったのでちょっとした人気に。
"ブランドバーグ”というブランドもやっぱり、魅力であることには違いなく。
少しくすんだ水色にところどころ紫がのって、ミルキーな水晶が貫通しているというのがこのポケットの特徴。何人かの持っているロットを見ましたが、ダメージが少ない、そして野暮ったくない標本は少なかった雰囲気でした。
これ亀とか「ツボツボ」に似ていて可愛くないですか?
(2020/4/17)
Damaraland, Kunene, Namibia
2.5cm tall
ナミビアのどうやら新しい産地の蛍石です。とても美的な標本、というわけではありませんが、新産の蛍石標本はわくわくするものです。どうみてもメキシコ・Ojuela鉱山ぽいよなーと思ったそこの貴方。私もそう思いました……。だけれどもナミビア在住のとても信頼のできる筋から入手してますしちゃんとナミビアです。近年は産地の網羅よりも美的な標本に天秤が傾きつつありますが、初心にかえってこういう標本も悪いものでは全くありません。
ナミビアという国はOkorusu鉱山やErongoがとにかく有名ですが、それ以外にも数多くの蛍石産地があって、網羅するには沼にひきこまれる予感しかしない蛍石冥利に尽きる国でしょう。
(2023/6/17)
Navachab Gold Mine, Erongo Region, Namibia
Small Cabinet Sized
始めに書いておきます。この標本はめぇぇぇっちゃ、レアです。
そしてNavachabの蛍石標本の中でも、今まで見たことのあるもののうち最もエレガントだと、思っています。
ナミビア共和国の蛍石標本と言えば、エロンゴに広がるペグマタイトのものか、オコルス鉱山のものと相場が大体決まっています。「えーBrandbergがあるじゃないですか」とか、剛の者であれば「Pforteの蛍石もあるんですけど」とか言い出しそうな気もしますが、それはあくまで蛇足。アペンディックスなわけです。
そしてここにさらにもう一つ、”For the serious Namibian or Fluorite collectors"とでも言いたくなるようなマニアックなものを用意してみました。
Navachab鉱山の蛍石標本です。
1980年代に発見・開発され、かつてはナミビア唯一の金鉱山だったNavachab鉱山。金鉱山なので、恐らく盗掘を防ぐなどざまざまな問題から鉱物標本が出回ることはほぼありませんが、古くは方解石の標本がでまわったこともあったみたいです。
そして2020年になってから緑色・八面体式の蛍石が方解石にのった標本が、ごくわずかに出回るようになりました。本当に、ごくわずかでしたけれどもね。この標本も、それらのうちのひとつです。
ナミビア在住の著名なディーラーによると2016年頃のポケットらしいです。ふむ。
(2021/1/22)