アラスカ州の蛍石
1867年にロシア帝国より購入されアメリカ領となったアラスカ。 歴史的にはカナダ・ユーコン準州で金が発見されたことに端を発する19世紀末よりのゴールドラッシュは有名であり、現在でも金標本や鉄礬柘榴石などで知られる”最後のフロンティア”です。 広大な大地には油田や様々な資源が眠っていると言われますが、蛍石産地はアレキサンダー諸島のKuiu島やZarembo島など数えるほどしか知られていません。
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Zarembo Island, Chatham Strait, Wrangell-Petersburg Borough, Alaska, USA
Small cabinet sized
Mined circa 1980's, probably 1986
母岩を覆うドルージーな水晶の上に淡く緑に色づいた清楚無垢で透明な八面体がのる標本。
宝石が零れ落ち散らばっているかのような印象をうけます。入手困難なこともあり、蛍石コレクターにとっては宝石的な意味合いを持っているとも言えるでしょうか。
アラスカ州の蛍石は探しても中々見つけることは難しく、見つけても大抵はKuiu島の淡い緑色をした立方体結晶。それ以上にレアリティが高いのがこのZarembo島の蛍石です。
ともに同じアレキサンダー諸島に属する島であり、ごく淡い緑色を呈することやUVライトに良く反応する点は共通していますが、Zaremboのものは八面体式の結晶をなす点がKuiuのものと大きく異なります。
Mindat等を参照すると同様の標本が1980年代に採取されているようですが、これも恐らくはその時代に採集されたものなのでしょう。
(2017/1/15)
1920年代には少なくともZarembo島で蛍石が産出することが知られていたようで、文献にも記載されています。なお、海岸線付近に晶洞が存在し干潮時にしかアクセスができないんだとか。
情報を提供していただいたT氏に感謝いたします。
(2017/1/16 追記)