ケンタッキー州の蛍石

 ケンタッキー州の蛍石標本はメジャーなものではありません。現在ではイリノイ州の蛍石にのみ注目がいきますが、Illinois-Kentucky-Fluorspar-Districtの名前が示すようにケンタッキー州西側は、歴史的には蛍石の一大産地でした。具体的にはイリノイ州側のHadrin郡とPope郡、そしてオハイオ川をはさんだケンタッキー州側のCrittenden, LivingstonやCaldwell郡ですね。現在でもMrion近郊のEureka鉱山の蛍石は一定の知名度がありますし、何より同市内に存在するBen E. Clement博物館は蛍石マニアの聖地のひとつです。

 


Liter’s Quarry

Liter's Quarry, Breckinridge Co., Kentucky, USA

5cm tall

 

どうしてもイリノイ州の蛍石にばかり目が行ってしまいますが、お隣のケンタッキー州だっていい蛍石あるんですよシリーズです。不定期連載かつ打ち切り間近企画な予感満載ですけどね!

 

それはともかく、前述のケンタッキー州西部だけでなく中東部にもいくつか蛍石産地が知られており、その多くは石灰岩採石場です。その一つがLiter's Quarryです。1940年代から続くこの採石場は現在では採集禁止となりましたが、方解石や重晶石にくわえ、紫~黄色の蛍石が知られています。

このサンプルでも紫色の蛍石に、方解石や苦灰石が伴いますが、これだけしっかりした蛍石がでることは非常に稀で、得難いサンプルといえます。言い換えると、蛍石オタクが喜びそうなやつ、というわけです。

 

(2021/9/3)