ネバダ州の蛍石
アメリカの蛍石といってもネバダ州産というのはマイナーな部類だと思います。 Boulder Hill Mineなどと見いかけないことはありませんが、やはりマイナーな感じは拭えません。
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Boulder Hill Mine, Wellington, Douglas Co., Nevada, USA
Thumbnail Exceeding size
Ex. Martin Jensen Coll.
Collected in November/2000
かつては銀山などの鉱業によってたった州であり、現在はカジノの地であるネバダ州。現在でもいまだ鉱業は比較的盛んではあるものの、ネバダ州の蛍石標本というのは珍しいものです。
その例外がこのBoulder Hill Mine。主としてグレーな色合いの立方体式の蛍石がしられています。
時に淡く緑色やピンク~紫が混じることもあって、この標本はわずかに緑みを帯びたものです。
ただ蛍石が知られているとはいっても、野暮ったいと言わざるを得ないブロッキーな標本が正直多いなか、この標本はフロントビューでは透明度の良く、緑のファントムも確認でき、背面は再結晶によるステップ構造が興味を引くフローターなものです。さすがはMartin翁の標本。
悩んだ結果、背面の写真ということで。
(2021/5/28)
Relief Canyon Mine, Relief Canyon, Antelope Springs District, Pershing Co., Nevada, USA
32mm×25mm
アリゾナ州のパステルピンク&パステルグリーンの蛍石。
表面はエッチングのためかざらざらに見えますが、しっかり八面体結晶になっています。
もう少し濃いピンク色だったら「スイスのピンク蛍石です!」と言ってもばれない気がします。
冗談はさておき、優しい色合いでほんわかという感じの標本なのでもうちょっとメジャーになっても良いのではと思ったりします。
なおここの産地は2009年にこのタイプの蛍石や方解石が産出したようで、これもそのうちの一つです。
この標本ではほぼパステルピンクですが、色のバリエーションとしてはほかにもライラックや、紫といったもののほうが主です。
Sharon Claims, Esmeralda County, Nevada, USA
Toenail Sized
そもそもこの産地の蛍石を持っているコレクターが何人いるんだろうとか、そういうレベルのネバダ州の半球状蛍石。だから別段綺麗な標本ではなく、そのレアさにふらっとね。そういえばコレを手に入れてからも1,2回くらいしか出ているのを見たことがないな、とか。
半球状の蛍石は実のところ非常に細かい立方体が寄せ集まってできているみたいですけれど、見た目はどちらかというと少し汚いカルセドニーと言われたほうが納得しやすいかも。
方沸石は綺麗なものが出ることで知られる地ですが、この標本の白い部分は方解石らしい。写真上部に見えるように若干方解石もついています。一応、金銀などを多く含有する土壌らしく方沸石、菱沸石、方解石、蛍石などが採れるみたいですけれど、まぁマイナーな産地であることには変わりないですよね。
ちなみにインドの黄色い球状蛍石同様に紫外線長波をあてると強烈に黄色く蛍光します。そういう意味でも面白いものかもしれませんね。
(2017/12/24 編)