ユタ州の蛍石
ユタ州はDeer Trail Mineの蛍石をときどき見かけるため、アメリカの蛍石としては比較的認知されているほうと言えるでしょう。その一方で、同鉱山以外の蛍石は乏しく、市場において見かけることはほぼありません。
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Deer Trail Mine, Mount Baldy District, Cottonwood Creek, Tushar Mts, Piute Co., Utah, USA
45mm×45mm×30mm
ミントカラーとCuboOctahedronが特徴的なユタ州はDeer Trail Mineの蛍石。
CuboOctahedronがコロンとふた玉よりそって、離れていない感じがよろしい。
元々蛍石を覆っていた微細な水晶をフッ酸でとかされた状態で用に出回るらしく、これもその手の手合い。白い母岩をよく観察するとそれっぽさを感じられます。
アメリカ産の緑蛍石としては、カリフォルニアやニューハンプシャーなどと並んでオーソドックスな産地。撮影環境の問題上今まで色をうまく表現できず、入手してからサイトにアップしないまま3年ほどお蔵入りしていた標本。今回撮影環境をアップデートし、やっとアップする運びになりました。
(5/19/2016)
Deer Trail Mine, Mount Baldy District, Cottonwood Creek, Tushar Mts, Piute Co., Utah, USA
Collected cicra 1982
25mm wide
Ex. Alex Schauss collection.
Published in Mineralogical Record, Refined Elegance: The Small Treasures of Mineralogy, November 2022
ミントカラーでマニアには有名なユタ州・Deer Trail Mineの蛍石標本。
しかしながら数多く流通しているわけではありませんでした。加えて、元々蛍石を覆っていた微細な水晶をフッ酸などで処理して、周囲の水晶もまとめて除去したものしか殆ど流通していなかったのでした。ちょうど中国江西省 De’Anの蛍石標本と同様のパターンと言えば伝わりますでしょうか。
しかし2019年頃に大量に水晶が処理されていない1982年産の標本が出回ったのです。その時の私は何を考えていたのか良くわかりませんが、入手しないという愚行を犯し(母岩と蛍石結晶のバランスの良い標本が数少なかったというのはあります。)4年の年月が経過して今回ようやく入手に結び付きました。
滅茶苦茶バランスがよくてかわいい標本じゃないですか?これ。
世界有数のサムネイルコレクター、Alex Shcauss氏の元コレクションなんです。2023年のツーソンショーでコレクションが放出されることとなり、一部界隈ではお祭りでした。氏のコレクションに蛍石の標本は殆どありませんでしたが、これはその数少ないうちの一つです。
(2023/3/24)