ノーサンバーランドの蛍石
NorthumberlandはRogerley鉱山などで有名なCo.Durhamや、同じく蛍石で有名なCumbria(の中でもAlston Moor地区)の北に接しており、イングランドの最北端に位置します。 このNorthumberlandは上記の二地区と比べるとレアな産地ではありますが、それでもAllenheads鉱山やSt. Peter's鉱山などがあり、前者はライラック色の、後者は古くはアップルグリーン、現在は茶~黄色の蛍石がとれています。
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St Peter's Mine, Sparty Lea, East Allendale, North Pennines, Northumberland, England
40mm×30mm×20mm
St Peter's鉱山の黄色い蛍石。黄色というより茶色系の渋さかもしれないですが。
片面は蛍石が良く観察でき、反対側では蛍石が水晶とシデライトに覆われていてどの方向から見ても綺麗で面白い感じ。
ちなみに、よく見るとゾーニングのある結晶だとわかります。
この標本はこれ自体以外でも面白い点が二つあります。
一つは歴史的なお話で、1930年代にアップルグリーンの蛍石を産出したことで有名だったのですが、閉山して以降はその場所が杳として知れず。90年代中盤に採掘が許可されて以降は黄色系や紫色系のものしか採れてないというお話。ちなみに、アップルグリーンの蛍石はロンドン自然史博物館に所蔵されているのだとか、いつか行ってみてみたいですね。
もう一つは、この産地の画像を検索していたところこの標本の以前の持ち主がネット上に写真を掲載しているのを発見しました。Helen Wilkinsonという結構有名人らしく、色々想像がはかどりますが、購入時よりも詳しくどのlevelで採れたなどと書かれておりラッキーというお話。
St Peter's Mine, Sparty Lea, East Allendale, North Pennines, Northumberland, England
25mm×24mm×16mm Largest = 20mm
これもSt.Peter's鉱山の蛍石。
ただこちらは宝石質な貫入双晶のサムネイル。
色はシェリー酒のような色合いでヒルトンの黄色や、ロジャリーなどの緑とちがって独特に渋くてでも綺麗で。
結晶のすべてが完全宝石質というわけではなく、一部にはダメージも白もやもあるのですが、それでも余りある色合いと透明度。
ちなみに、よく見ると青っぽいゾーニングがちょろっと入っています。
これだから英国の蛍石集めやめられない。
この黒い付着物もやっぱりシデライトで、95年~96年に採取された宝石質なツインと酷似しておりそれぐらいの産出なのでは?と考えていますが断定はできません。(業者はオールドコレクションと言っていたが、そもそもどれくらいからオールドコレクションというのかわからないのが辛いところ)
Beldon Mine, Blanchland, Derwent Valley, North Pennines, Northumberland, England
Collected in Summer/2014
31mm×27mm×25mm
英国の蛍石ラブを自称していたはずなのですが、英国蛍石の更新はなんだかとても久々な気がします。ここ2年ほどはイリノイ州蛍石に注力しすぎていたのでしょう。
さてこの蛍石は、イギリス蛍石を集めている人でも聞きなれない産地のものではないでしょうか。
それも当然の話でして、元は100年ほど前まで蛍石を掘っていた廃鉱山。ですがオールドコレクションというわけではなく、2014年の夏ごろに忘れ去れていたこの鉱山跡からワンポケットだけ開けられ、市場にも幾らかの蛍石がでまわったのです。
どうやらハイクオリティというほどの蛍石が採れたわけではなかったようですが、レア物としての価値を見出せるわけです。特徴としてはわりと濃い紫色で、イギリス北部の蛍石としては一般的な貫入双晶であり強蛍光をみせること、透明度はあまりよくなく精々translucentといったところであることなどがあげられます。
この標本もその特徴に漏れず、ちょっと濃い目のグレープ色、貫入双晶、ほどほどの透明度となっています。大きい結晶の上に10mmほどの貫入双晶が並んで双子のような様になっているのがちょっと可愛いのです。
(6/18/2016)