ベルギーの蛍石
ベルギーを含めたベネルクス三国の蛍石標本は珍しいといえ、辛うじて見かけるのがベルギーの蛍石です。Fond des Vaulx quarryやBoltry Quarryの蛍石が知られますが、ともに流通は乏しくめったに出会えません。ですが鮮やかな色合いの蛍石が多く、虎視眈々探すコレクターもいるとかいないとか。
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Boltry quarry, Seilles, Andenne, Namur Province, Belgium
Ex. Renaud Vochten collection
65mm×55mm×30mm
普段見る機会の少ないベルギー産の蛍石。
今回は2012年に亡くなったベルギー人コレクターのコレクションから、ベルギー産蛍石が幾つか出てきたため比較的容易に入手が可能でした。
色合いは綺麗な黄緑色で、ちょうど中国湖南省/Xianghualiangあたりの緑色と似たような色合いです。
結晶表面はナチュラルにエッチングを受けた結果、かるく溶けたような感じですが、劈開された底面からみるとルースをとれそうなぐらいに透明なのがわかります。
写真一枚目、、、遠目にみるとカエルに見えますね。
このBoltry Quarryはベルギーでは有数の蛍石産地。ですが、大量に蛍石標本を市場に供してくれているようではなく、1970~80年代にこういったエッチングを受けた蛍石標本をだしたきり。それ以来の新規産出はめぼしいものがないようです。
色合いとしては、紫が最も多そうですが、青やピンクに近い色、緑や無色など幅広く存在している模様。
(4/21/2016)
Boltry quarry, Seilles, Andenne, Namur Province, Belgium
Collected in 1970's
Crystal:Small Cabinet Size.
Loose: 18.5ct cut by Hiroshi Noguchi
Photo by Kiyoshi Kiikuni
数年前に「ベルギーの蛍石って珍しいですけれども存在しているんですよ」と書いてから暫くたって。
欧州のコレクターからベルギー産の蛍石を複数入手する機会に恵まれました。
Boltryらしい溶けた結晶ですが、ワイン色の鮮やかで透明度もよろしいものでした。過去、欧州の博物館にBoltryの蛍石のルースが展示されているのを見かけたことがあり、ピンと来たわけです。こんなレアな蛍石のルースなんて日本国内の好き者と言えどもそうそうは持っていないでしょうし、手持ちの結晶をカットしてみたらどないなるんやろうと。縁あって著名なレアルースカッターに依頼することができ、期待を超えたワインレッドのルースが出来上がりました。しかも18ctもあるですよ。ここまで来れば、もうこうするしかありませんよね。そう、crystal&looseの写真を撮影してもらうしかね!
(2021/1/7)