ポーランドの蛍石
隣国であるドイツやチェコの蛍石は良く見かける反面、ポーランド産の蛍石に遭遇する機会は限られます。中でもStrzegom一帯から産出する蛍石は見た目に綺麗で多少の知名度があると思いますが、流通は安定していません。
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Striegau (Strzegom), Świdnica District, Strzegom-Sobótka Massif, Lower Silesia (Dolnośląskie), Poland
Thumbnail Sized
見かける機会の少ないポーランドの蛍石。というか、そもそも市場にポーランドの蛍石が出回る機会がほとんどないという。なかでもStrzegom一帯の蛍石は比較的よく知られ、八面体式結晶を中心とし、紫色から青紫色、時にピンクや赤色も産します。ペグマタイトらしく、長石や煙水晶、束沸石などと共生し、ものによってはかなり美しいものも。
そしてこの標本は、少しだけ青をかんだ綺麗でいて妖艶な紫。透明度・照りもよく、2cmを少し超えた結晶。トップにはおそらくA面がでていますね、残念ながら裏面は剥離痕と劈開。
ちなみに、ドイツ語だとStzegomと書くらしく、ストシェゴムと読むようです。
調べてみると2000年以上前からこの一帯の花崗岩が利用されているようで、この標本はオールドコレクション。古いラベルがついていますが、かすれて読めませんが。
(2018/9/21 編集)
Grabina II quarry, Strzegom, Strzegom-Sobótka Massif, Lower Silesia, Poland
Miniature Sized
Collected in 2017 Photo by Kiyoshi Kiikuni
みるからにクールでコレクターの心を揺さぶる八面体の集合。
薄い紫色で透明感のある八面体と、濃紫色のコアは三つ鱗のような形で見えるんです。光に透かして見た日にはまぁ美しいものです。そしてこれがポーランド産の蛍石であるということが、より一層魅力を掻き立ててくれるわけです。
Strzegomの蛍石は古くから知られるものですが、基本的には多量に産するものではなくポーランド国内のみで良品はきえてしまい、海外のコレクターには縁遠いもの。紫色を基調とした色味はオーソドックスなものですが、それでもこの標本のようなポーランドの"お宝"を入手できたことはとても嬉しいんですよね。それが、石切り場まで正確にわかる形であればなおさら、です。
(2018/12/15)