ルーマニアの蛍石

 

ルーマニアの蛍石はある程度ですが見かけるところです。有名なCavnicのCavnic MineやBoldut Mineの透明、緑色、ピンク色などの蛍石があり、水晶と共生しているとても綺麗な物も存在しています。

現在Cavincの鉱山はすべて閉山しているとのこと。

 


Boldut Mine

Boldut Mine, Cavnic, Maramureș Co., Romania

10mm×10mm×10mm

 

ルーマニアで蛍石がでることはコレクターにとってはある程度知られたところですし、淡いピンク色の結晶と水晶のコンビネーション、ミントグリーンの球状結晶、無色にちかい白~極淡い紫の結晶など幾つかのタイプが存在することは知っていました。

ですがピンキッシュパープルと淡緑のバイカラーで貫入双晶、これは初めてみました。

 

ルーマニアで貫入双晶が出ることに驚きましたし、産地ミスではないかと一瞬疑いましたが、カラー自体は前述の”淡いピンク色の結晶と水晶のコンビネーション”のものに似通っていますのでまぁBoldut鉱山産なのでしょう。もしかするとそのタイプのクラスターから分離された結晶ということもあるかもしれませんね。

 

実物は10mm程度と小粒ですが、それもあってか透明度もまずまず。ブラックライトでもほどほどに蛍光しますし、レアさと綺麗さを両立させたマイクロマウントといったところでしょう。

Boldut Mine, Cavnic, Maramureș Co., Romania

40mm×30mm×30mm

Mined in 2006

 

変わり種のルーマニア蛍石として有名なミントグリーンの球状結晶。

透明で細い5mmほどの水晶の針山の上に、この蛍石が2個のっている。この組み合わせはとても美しく、その上蛍石はブラックライトで青く蛍光する。しかし、写真は難しい。

 

2006年にワンポケット開いた時のもの。当時はある程度流通したようですが、数年後に私が蛍石収集を始めたころにはもう市場では非常に希少なものとなっていました。そのためこれもコレクターの放出品で、数年間虎視眈々と探してようやく入手できました。

(10/16/2016)

 

Boldut Mine, Cavnic, Maramureș Co., Romania

Mined c. 1996

4cm

Ex. Robert Brandstetter coll.

 

天変地異がおきた。

偉大な蛍石コレクターがコレクションの大部分を手放した。

この事態に蛍石コレクターたちは動いた。というより、動かざるをえなかった。夢に見たあれやこれを入手する機会なのだ。世界一有名なエイリアンアイすら含まれていた。金欠なんか関係ない。迷うことなく、バーリトゥードに参加した。

それぐらい偉大なコレクションだったし、我々はどうしようもなくコレクターだった。


結局、エイリアンアイは入手が叶わなかった。(あれは世界に冠たる博物館にあるべきレベルの標本だと合理化しておく)けれども、人生で2度とはないだろう標本を手に入れることができた。

残念ながらこれはそのonce-in-a-

lifetime pieceではないのだけれど(出し惜しみさせて欲しい)、同時入手したありふれていない標本だ。

ルーマニアのミントカラーの蛍石。わずかに透明感をともなったシャーベットみたいな質感の球状の結晶は、むしろクリソコラなんかを思わせる。この独特の風貌からコレクター人気は高い。

過去掲載した2006年のものとは趣がやや異なる、1996年ごろの標本のようだ。


話は最初にもどる。

コレクションには必ず終わりがくる。自身をコレクターと規定してから現在まで、その僅かな時間の中ですら多くの終わりを見てきた。つまり、避けようがない。けれど、終着点のあり方はある程度自由に決めることができるはずだ。まだ貪欲でいていいはずだ。

MtGLast wordのフレーバーテキストを想起しちゃうね。

Boldut Mine, Cavnic, Maramureș Co., Romania

3cm Tall

Ex. Melanson Collection

 

今となってはクラシックなBoldutの蛍石です。

過去Melanson氏のサムネイルコレクションにあったこの標本を、氏が入手したのは1990年。1990年が今からもう30年も前なんですよね…

 

薄い層状に重なった重晶石の上に蛍石がのる標本です。ルーマニア産であるということを考慮すれば、とても端正な標本と言えます。ミントグリーンの丸い球状になった蛍石が特に有名ですが、この淡い紫もBoldutらしいカラーです。中心部には淡く緑色が入っています。可愛いですよね?

 

問題は、どちらのタイプも今となってはクラシック(あるいはモダンクラシック)な標本となってしまい、入手が容易ではない点です。皆さんもルーマニアの蛍石は見つけ次第確保するのが吉ですよ。

(2020/5/1)