スウェーデンの蛍石
Malmberget, Gällivare, Lappland, Sweden
15mm Edge
「八面体式の緑色の蛍石結晶」という要素で思い浮かぶ産地は数多く存在しますが、「鮮やかで色の濃い、エメラルドすら想起させる緑色」となると蛍石コレクターが挙げるものは凡そ2つの産地しかありません。
そう、カナダのFaraday鉱山とスウェーデンのMalmbergetです。
中でもMalmberget(マルムベリエトと読みます)は1cmを超えるような、時に3cmぐらいまでの美麗な結晶が、赤茶色のヘマタイトやオレンジ色の束沸石に覆われて産します。
そもそも北欧の蛍石というのは流通量が極端に少なく入手が困難です。そしてMalmbergetの緑色で綺麗な結晶のポケットが開いたのは1982年と四半世紀以上の昔です。そういう事情もあって輪にかけて入手が困難で、蛍石コレクター垂涎の産地というわけです。ほかにも"バタフライ・ツイン"の方解石で知られる地でもあります。
さてこの標本。最大15mm程度のダメージのほぼない分離結晶です。この産地独特の鮮やかな緑色がよく観察できる標本。及第点は明らかに超えているでしょう。
実は前の前の持ち主は、ポケットの発見者からプレゼントでもらったものらしいです。まぁ何だかんだで、発見者というか世界的なコレクターの某氏と知り合いになったりするわけなんですが、それはまた別のお話。
(2019/12/27)
-450m level, Malmberget, Gällivare, Lappland, Sweden
1982 find
25mm Edge
1度入手が叶ったレアものはその後も何度か入手の機会に恵まれるという、嬉しい反面やや複雑な星のもとにあるようです。初めてマルムベリエトの蛍石を入手できてから3年ぐらいの間に、新たに3個の標本が手に入りました。そのうち一つはポケットの発見者の弟から直接購入した母岩付き、さらにもうひとつはこの25mmもある大きな結晶です。
結晶表面はマットですが、透明度は十分よく、何よりもやはり大きさは特筆すべきです。このポケットからでたもので20mmを超えるような結晶はほとんどありませんから。
欧州のコレクターがエメラルドの支払いのためにエメラルド色の蛍石を手放したのが、何の因果かまわりまわって私のところにやってきました。どういうことやねん。
(2021/9/17)