フランスの蛍石(フレンチアルプス除く)
フレンチアルプスのピンク蛍石を除くと、Le Beix鉱山、Le Burg鉱山、Haute-Loire地区(Marsangesなど)といった青色系統の蛍石がイメージしやすかもしれません。 しかし、Valzerguesの黄色い蛍石、La Barreの八面体の蛍石、Buxièresの球状に近いものど様々なタイプの物があり面白いです。(その分把握しづらいのですが) |
Marsanges, Langeac, Haute-Loire, Auvergne, France
Small Cabinet Sized
Collected in 2013
水色を基調として、あんこのような紫色のファントムが綺麗な蛍石。
同じフランスでもLe BeixやLa Barre, Puy-St.-Glumierなどに比べると薄い色ですが、それでも十分に綺麗な青。
Marsangesはフランスの中でも最大の蛍石鉱山のひとつであり、良質な標本を産出したことで知られます。青い蛍石が有名な産地ですが、トップレベルの標本では前述のフランス2大巨頭であるLe BeixやPuy-St.-Glumierにも匹敵するとも言われます。
Marsanges鉱山自体は1975年に閉山していますが、ここを含めたLangeac一帯ではまだまだ採掘がおこなわれている様で、フランスの青い蛍石産地がほぼ閉山もしくはアクセスできなくなってしまっている現状では入手容易な産地と言えるでしょう。
この標本は紫のファントムがあるという点で、レアなんです。
(2017/12/14)
Marsanges, Langeac, Haute-Loire, Auvergne, France
Miniature Sized
Collected in Winter/2017
Photo by Kiyoshi Kiikuni
Marsangesで17年冬にでた、その地では珍しい青の上に黄色が成長するもの。
青単色の綺麗なものは良く知られていますし、黄色単色も知られていたんですけど、この色の組み合わせというのが今ままで全然なかったんです。それでフランス人が大興奮。
私もたまたまラッキーで、いくつかあるものの中から選ばせてもらえました。
大きい結晶になればどうしても透明感と照りが犠牲になるようで、これは青の少なさを犠牲に照りと色の綺麗さ、透明度を最大限追及したもの。めっちゃきれい。
そしてめっちゃ綺麗なので、めっちゃ綺麗な写真を鉱物写真家の紀伊國さんにお願いしました。美しすぎるだろ…The Picture does speaks for itself!
(2018/6/2)
Marsanges, Langeac, Haute-Loire, Auvergne, France
Thumbnail Sized
Ex. Alain Martaud Collection
カナリア色をした珍しい蛍石。
何が珍しいかというと。色の入り方。対角線にそって入る緑色と、わずかな茶色。
こういう"変"な色の入り方は、ほとんど見たことがありません。しいて少しでも類似しているものを挙げるならば、内モンゴルのYindu鉱山あたりででる細長い結晶でしょうか。
これもまたフランスの有名な鉱物商の元コレクション。しかし彼に聞いてみても、緑色の原因はわからないということでした。
(2020/11/27)
Pratclaux Vein, Marsanges, Langeac, Haute-Loire, Auvergne, France
50mm×35mm×30mm
フランス・オートロワールのパステルグリーンな蛍石。
ちょうど色合いは、毒々しくないメロンソーダか綺麗なミントグリーンといったところか。
細かく六面体のステップとなっており、いわゆる”Mayan Pyramid”などに分類される風体。
透明感はわりとよく、標本の端は無色に見えているがこれは…。
これを入手した当時は全くPratclaux Veinとか存在をしらなかったんですが、何年か経ったいまではLangeacの南に位置する坑道で、Marsangesへもつながっているとか。時たま見かける産地であり、八面体の上に水晶がのって、その上に無色透明の蛍石がドルーズに成長したりする面白い産地ってことを今では把握しています。
当時は、「この色合いでこの形、しかもHaute-Loire となるとMarsanges Mineの物にどう見ても似ているのだが…」と考えていたようです、私。うんそこそこ悪くないセンスだ。
(2018/6/2 編)
La Barre Mine (La Martinèche Mine), Saint-Jacques-d'Ambur, Pontgibaud, Puy-de-Dôme, Auvergne, France
Ex. J.-P. Boulay Collection Collected in 1978 by himself.
25mm×23mm×20mm
フランス産の青い蛍石。
透き通った湖を想起させるような深い青。それと透明な部分による緻密なゾーニングが形成されています。
文句のつけようのない、フランスらしいクラシックなブルー蛍石の単結晶。
以前の持ち主が1978年に直接採集してきたものとかで、現在では採取禁止&この色合いは採れないのだとか。
とは言うものの、2015年以降もちょくちょくと現地のコレクターは採集しているようで、稀にこれほどの大きさの単結晶はあまり見ませんがそれでも綺麗な青い標本がフランスでは出回っているようです。
鉱物界の絶産は当てになるようでならないし、当てにならないようでなったり。
La Barre鉱山自体はおよそ1世紀前から30年間稼働していた鉱山です。
古くはとても青い蛍石が有名ですが、現在では水晶を伴った紫色の八面体をちょくちょく見かけます。
(2017/3/12 編)
La Barre Mine, Saint-Jacques-d'Ambur, Pontgibaud, Puy-de-Dôme, Auvergne, France
Collected in 2015 from the superior level
16mm×15mm×10mm
La Barreと言えば青でしょう?といった固定観念を覆してくれた小さな宝石。
レモン色と青、無色に近い水色のトリカラーの鮮やかさは素晴らしく、イリノイのBethel Levelに似ているなぁという感想。透明度も抜群で、蛍石には宝石質という言葉は使っても、宝石とまでは言わないようにしていましたが、これもう宝石でいいじゃん、ってぐらいビビビときます。
写真なんか目じゃねぇレベルで最高だぜヒャッハー
もうひとつ上の標本は1978年に採集されたものですが、これは2015年にコレクターが掘ってきたもの。ほかにも2016年に掘られた青い結晶群も入手することができたわけで、ここ最近La Barreは個人的には結構あつい産地。さっぱり黄色い蛍石が出ることは知りませんたが、よく見たら黄色い結晶についても文献でも言及はされていました。
ただし基本的にはレア物であることには変わりなく、採掘は厳しく禁止され監視されている。
(2016/10/30, 2017/3/12編)
La Barre Mine, Saint-Jacques-d'Ambur, Pontgibaud, Puy-de-Dôme, Auvergne, France
6cm wide
『フランスの青い蛍石≒Le Burg鉱山』という時代から、ようこそLa Barre鉱山とMarsanges鉱山の蛍石が普遍化した世界へとなり幾年かが過ぎました。2023年現在のミネラルショーや発達した鉱物界隈のSNSでLaBarre鉱山の蛍石を見ない日はない、と言っても過言ではないぐらいです。面白いですよね。
そんなどうでもいい話はさておき。
分離した単結晶が非常に多い産地なわけですが、これは珍しく母岩付きです。そしてとてもバランスの良い見た目。さらに鮮やかなレモンカラー。どこの産地だろうと関係なく、良い標本じゃないですか?
(2023/7/21)
Le Beix Mine, Saint-Germain-près-Herment, Herment, Puy-de-Dôme, Auvergne, France
Thumbnail Sized
ターコイズブルーの蛍石で非常に有名なLe Beixですが、黄色や緑、あるいはカラーレスや八面体なんかもでることが知られるクラシックな産地。
これも青ではないもの。エレクトリックな色ではないですが、柔らかい青と黄色の、あとちょっとだけ紫の色使いなんとなくツボで入手したもの。これは往時にLe Beixで働いたMinerの家族が持っていたもの。
ちなみに同時にLeBeixの青も実は回収したのですが、ここの青はフランスの青でもどこか一線を画しますね。こうなってくると青単色で、ピカイチのものが欲しくなってくるというところ…
(2018/8/25)
Le Beix Mine, Saint-Germain-près-Herment, Herment, Puy-de-Dôme, Auvergne, France
33mm×27mm×24mm
Ex. E.Millot collection
エレクトリックブルーで有名なLe Beix。
残念ながらこれはエレクトリックブルーとはほど遠いですが、それでも黄色・少し紫・青のゾーンが綺麗な蛍石。水晶とともに蛍石がでる産地でもあり、これにも水晶が少し付着しています。ある意味でフランスらしい、蛍石でしょうか。
Le Beixの蛍石というと青が最も有名ですが、基本的にはとても高価なお品物。無色や黄色の蛍石もでましたが1977年に国立公園に指定されるとともに閉山しています。
(7/24/2016)
Vensat, Aigueperse, Puy-de-Dôme, Auvergne, France
60mm×40mm×39mm Largest = 12mm
フランスの中ではメジャーな蛍石産地・Vensatの黄色い蛍石。
イギリス・ヒルトン鉱山の上品を想像させるようなゴールデンイエローで透明な蛍石がいくつも母岩についています。
特に最大の結晶は色の濃淡によるゾーンも若干ですが確認でき、なんともいい色合い。
結晶の形はしっかりと六面体式になっており、カルサイトも共生して申し分のないサンプル。
Vensatはあのボ●ビックで有名なピュイ・ド・ドーム県にあり、黄色い蛍石の産地としてわりと良く見かけるところです。フランスで黄色い蛍石と言われるとこのVensatかValzerguesがまず思い浮かぶところ。
ただ、Vensatでは紫色の蛍石もとれるのだとか……、気になります。
Les Isserts, Saint-Jacques-d'Ambur, Pontgibaud, Puy-de-Dôme, Auvergne, France
Thumbnail Sized
Collected in 2012
薄めの黄緑色に、Cubo-octahedronの紫色なファントムが結晶を縁取りするかのように入る独特な蛍石。
これに角のようなタンジェリンクォーツがアクセントになっていて、審美的なサムネイル。
Les Issertsは緑色に紫色のファントムが入った蛍石を産することが知られますが、基本的にはかなりレアなもの。蛍石コレクターでも知ってる人は少ないんじゃないでしょうか。
元々はとある企業が鉛を採掘しようとしていた産地で、2002年、2012年、2015年の三度こういった蛍石がみつかったんだとか。これは2012年のもの。ちなみにLes Issertsでは紫水晶も知られています。
(2018/1/28 編)
Clersanges mine, Saint-Pal-de-Senouire, La Chaise-Dieu, Haute-Loire, Auvergne-Rhône-Alpes, France
Toenail sized
一部で知名度の高いClersanges鉱山の蛍石。
この鉱山で最も評価されるイリノイの一部蛍石にも似たトリカラーの結晶。
やはりこの結晶の端に三角形の形に現れる紫色のファントムがこの鉱山の蛍石に特徴的なのがうかがえます。
フランスに青い蛍石多しといえど、独特の美しさを持つ産地なのかもしれません。願わくばもう少し標本が流通してくれればいいのですが。
MindatでもVeryRareと書かれるあたり、相当出回らないのだろう。
追記:
もっと流通してくれればいいなぁとの思いもむなしく、Clersanges鉱山の蛍石は文字通り絶産となってしまいました。
というのも産地だった場所は2008年に造成されてしまい、現在は住宅地か何かになってしまったのです。今後はさらにさらに入手が難しくなってしまうのでしょう。
また1㎝を少し超えるぐらいのラフが多く、2㎝を超えるような大きな結晶はレアといえダメージのない結晶で綺麗ないトリカラーというのはAbsolutelyにレアといっていいということになりそうです。ナムサン
(10/30/2016 追記)
Le Burg Mine, Alban, Le Fraysse area, Tarn, France
85mm×45mm×45mm Largest Crystal = 20mm
Le Burg鉱山のうす~いスカイブルーの蛍石&水晶。
よく見ると檸檬色のゾーンもあり透明度も良いのですが、メインの結晶に幾つか目に見えるダメージがなんとも惜しい。
濃い青には遠く及びませんが、写真よりは若干濃い青色をしています。
うすい水色系統の撮影は難しい。
Le Burg鉱山というと青色の蛍石でわりと有名な産地ですが、06年4月に操業停止しているらしい。現在では濃い青色の蛍石はあまり見かけないので一つくらい確保したいところ。
En Bournegade, Alban - Curvalle, Alban - Le Fraysse area, Tarn, Occitanie, France
Ex. Alain Martaud Collection
Previously Danniel Gol Collection
5cm
鮮やかで色濃い青色と、水晶のバランスが素晴らしい標本。
En Bournegadeは1960年代に閉山した蛍石鉱山です。鉱山としてはlow gradeな鉱石を産したのみでパッとした存在ではなく、さしてコレクターの目を惹く産地ではありませんでした。そう、1990年代に綺麗なブルーフローライトが報告されるまでは。
それ以降は何人かのコレクターの手によって探索がなされ、多くの良質な蛍石標本を供給することになりました。その多くは水色、あるいは青色の蛍石であり、水晶や時に菱鉄鉱で装飾されたものです。青の色合いも蝕像により輝きの乏しいものから、照りのよいものまで様々です。
さてこの標本。そういう目線で振り返ると、特に良質な標本であることに気付けるかもしれません。フランスの著名なコレクター/鉱物商のコレクションに長年とどめおかれていたことも納得がいきます。こういう標本を入手する機会に恵まれるのはとてもうれしいことですね。
(2020/9/4)
Trébas, Tarn, Midi-Pyrénées, France
4cm tall
トレバスの蛍石もまたTarnの蛍石の典型例に漏れず、時に水晶を伴う青の美しいものが知られています。
知られていますとは書きつつも、フランス国外のコレクターにとっては圧倒的な知名度を誇るLe Burg鉱山の影に隠れてマイナー扱いされていることと思います。
この標本のように純粋な青に近いものや、黄色いファントムを伴い、それが故に時にブルーグリーンのような色合いのものがトレバスでは典型的な色合いです。
分離結晶はこれまでに数個入手してきましだか、そもそも標本の流通量が決して多い産地ではなく、こういった母岩付きの良質な標本はかなり稀なんですのよね。
以前掲載していた分離結晶は記念品として贈呈したんですけども、その後に色々あったりしたらしい。です。ええ。
(2022/4/28)
Peyrebrune, Montredon-Labessonnié, Réalmont, Tarn, Midi-Pyrénées, France
3.5cm wide
ペイルブリュヌは鉛、銀鉱山としてローマ帝国の昔から採鉱された地とされます。
1972年に鉱山が閉山したのちも、周囲に存在するLe Rivet QuarryやFour de Cluzel mineなどはアクティブであり、これらをまとめて、Peyreruneと称することも多いようです。
この一帯からは水晶、菱鉄鉱、方解石などもでるわけですが、特によく知られているのはあざやかな黄色の蛍石です。稀に貫入双晶をなしたり、鉱山が現役だった時代は紫であったり30cm級の蛍石も産しています。いわゆる現在では流通の少ない、クラッシクなフランスの鉱物産地というわけです。
また一帯では2018年にFour de Cluzel mineから黄色い蛍石が再産出したことも、一部のコレクターの記憶には新しいことでしょう。
さてこれ。この標本はその新しいものではなく、もう少し古いもの。鮮やかな黄色のコアに、薄い水色のバイカラーになった可愛らしいといえる標本かもしれませんね。こういったバイカラーの標本も、Peyrebruneでは珍しくありません。
(2020/9/18)
Filon Jaune, Valzergues, Decazeville, Aveyron, Midi-Pyrénées, France
Miniature Size
Ex. Mazankiewicz Coll.
黄色い蛍石で著名なValzergues。
その多くは中でもFilon Jauneから産したものであり、これもそのひとつ。鮮やかな黄色が綺麗。
彩度、照り、透明度は申し分ないのだが、もう少しメインクリスタルに大きさが欲しいところか。時にこの産地では黄色いエッジに青のゾーンが入るものも存在し、その青の存在感がしっかりとしたものはそれはもう綺麗で綺麗で......この標本でもほんのり青みを確認できることはできます。が、つまるところもっと青い主張が激しいものが欲しい、それは欲しい。ないものねだりだ。
と書きはしますが、現状を考えれば及第点は超えている、充分に楽しめるValzerguesといえるでしょう。仏蛍石コレクターがコレクションをAuverngeに絞る際に手放したもの。
(2017/11/11)
Filon Jaune, Valzergues, Decazeville, Aveyron, Midi-Pyrénées, France
Thumbnail Size
Collected in December/2017
ここのところValzerguesの蛍石はそこそこ豊作な様子で、 超一級品こそ見かけないものの、それでも色をや特徴を楽しむには十分な結晶が幾らか出回っています。
そういった背景の上で、これは分離結晶ながら鮮やかな黄色をベースとして、はっきり青いアウトライン、TrapezohedoralなModificationと、Valzerguesのなかでも評価されるポイントを兼ね備えています。そして特にTorapezohedronは写真でもわかるように、比較的はっきりわかるサイズ。これらの要素を兼ね備えて、美的な標本ってなかなかないんですよね。
(2018/3/19)
Fontsante Mine, Tanneron, Var, Provence-Alpes-Côte d'Azur, France
Miniature sized
南仏の蛍石産地、Fontsante。青緑色の蛍石や、紫色のもの、無色に近い蛍石など様々なものが知られ、方解石や水晶、重晶石、方鉛鉱などいくつかの共生鉱物が加わることでバリエーションに富んだ産地といえるでしょう。しかし、閉山してから30年が過ぎ、日本国内ではFontsanteの標本を見かけることは残念ながら多くありません。
この標本は微細な水晶の上に、鮮やかな紫色の蛍石が結晶しており、端に二個つく方解石との左右差が可愛いといえるでしょう。前述の状況を考慮すれば十分鑑賞に堪えうる標本なのではないでしょうか。
(2019/4/5)
Figuier Vein, Fontsante Mine, Tanneron, Var, Provence-Alpes-Côte d'Azur, France
35mm×35mm×28mm Largest = 15mm
南仏産の青緑な蛍石。
色はパッと見濃い青緑で、萌葱色というのが一番近いだろうか。
透明度もよく、よく見ると表面直下には青いゾーンがいくつも入っていて中心部分は若干黄色のさした色合いになっているがのわかります。
メインの結晶以外は所々欠けたりしてはいるのですが、好きな色合いのサムネイル。この緑が強い青緑色っていうのが昔から好き。
Fontsante鉱山は、ニースやカンヌを擁しイタリアやモナコと接するプロヴァンス=アルプ=コートダジュール地域圏の中で最も有名な蛍石産地のひとつです。この鉱山は1919年から87年まで稼働しており、様々な色合いの蛍石を産出しています。
特ににこのFiguier Veinは濃い青緑色の蛍石で有名で、実際この標本もその一例となっています。
L'Avellan, Fréjus, Var, Provence-Alpes-Côte d'Azur, France
Miniature Size
Ex. Christophe Lucas collection.
Ex. Alain Martaud collection.
L'Avellanは日本国内では知名度の決して高くない産地です。私自身も蛍石を集め始め、数年が経過するまでは存在を知りませんでした。
先進国における鉱山の御多分に漏れず、鉱石としての質の問題とコストの関係から1971年に閉山しています。
しかし閉山以降もコレクターによって採集がなされ、良質な蛍石標本を送り出しています。2000年代以降はレモンイエローの蛍石や、重晶石と共生した青緑色の蛍石がよく知られています。
この標本もそういった00年代に見つかったレモンイエローの蛍石の一例です。しかし以前の持ち主からも示唆されるように、貴重なサンプルなのです。はっきりとした結晶、鮮やかな色合いに加えてライムグリーンのコアがあることが特徴的な標本です。
フランスの蛍石って底なし沼。
(2021/11/26)
Cornas quarry, Saint-Péray, Ardèche, Auvergne-Rhône-Alpes, France
Miniature Sized
ミュンヘンショー2019に行ってきたわけなんですが、その際土産物を対価に友人から貰ったもの。
純粋に標本中央に位置する重晶石と、ブラジルとかウルグアイの紫水晶を思わせるような紫の蛍石のバランスが良いと思う。しかしこれバライトの標本なんちゃうの…
Saint-Pérayまたは略してSt.Pérayの蛍石を日本国内で見かけることはほぼありません。ですが色鮮やかな紫色と結晶の照りの良さで知られ、フランスの蛍石標本を探すようになると必ず見かける人気の産地です。
基本的には大きくても1cmを超えないような紫色の結晶ですが、極々稀に黄色い蛍石もでるんだとか。見たことないですけど。重晶石、方解石あたりと共生して、出てくるわけなんですが紫のコアと外側のカラーレスもあったりしてこれがまたマクロで撮るとね、綺麗なんですよ。撮ってないですけどね(笑)
(2019/11/29)
Les Rocs quarry, Buxières-les-Mines, Moulins, Allier, Auvergne-Rhône-Alpes, France
5cm wide
フランスの中心部に位置するビュキシエール=レ=ミーヌは 19世紀中頃より炭鉱が栄えた地です。しかし、我々蛍石コレクターにとってはむしろ、珍しい球状の蛍石の産地として良く知られます。フランスで球状の蛍石産地といったら、あるいは欧州で球状の蛍石といっても、すなわちここよねと認識される程には有名です。
インド・マハラシュトラ州や中国河南省のもののように滑らかな球面かというとそうではありませんが、微細な立方体が集合してできたことがわかり易い球体で、 黄土色もしくは紫色のものです。球らしさはまちまちでこの標本はとても完成度が高いもののです。フランス人コレクター複数にone of the bestと言わしめるほどですからね。
他には閃亜鉛鉱とか方鉛鉱や、白鉛鉱なども産します。鉱山としては1993年に閉じ、その後も2001年ごろまでは何らかの形で稼坑していたようですが、現在では産地が完全に消滅しているため、いわゆる絶産にあたるのでしょう。
(2022/3/18)
Font d'Arques, Lieuran-Cabrières, Hérault, Occitanie, France
Collected in 2021
4cm size
2010年代前半はLe Burg鉱山やMont-Roc鉱山の閉山に伴って、毎年採集家が下界に持ち込むシャモニーのピンク蛍石を除くと、新たで華々しくそして豊富といえるような蛍石の産出はありませんでした。2015年頃より後は次第にLa Barreを中心とした青い蛍石や、Valzerguesの青と黄色のバイカラーがフレンチフローライトの主役に躍り出ました。ほかにも複数の蛍石は時折みられた一方で、それらのいずれもが潤沢な量があって日本国内からも容易にアクセスできたというわけではありませんでした。
そしてこれもおそらく潤沢とはなりえないであろう、新顔の蛍石です。
南フランス・オクシタニアのリュラン=キャブリエール近郊のFont d'Arques。もともと蛍石の存在は知られていましたが、どちらかというと重晶石で多少知られた産地でした。2021年に入ってから少量の蛍石が出回るようになりました。大別して2タイプあって、黄色と水色のバイカラーで蝕像をそこまで受けておらず透明感のとてもよいもの、前者と比べるとより蝕像を強くうけた淡い水色から無色の蛍石です。いずれも黄銅鉱の内包や、その痕跡も特徴的です。
というわけで、この標本です。前述した2タイプのうち、前者にあたる標本ですが、実は球状のマラカイトを伴う点でレアなもの。ちなみにこの新顔くんたち、かなりポテンシャル高いです。ともすればかなり良い淡い色合のイリノイの蛍石かと思うぐらいの色と透明度。
(2021/3/19)
Saint-Pierre Vein Giromagny, Belfort Territory, Franche-Comté, France
47mm×35mm×20mm Largest = 10mm
フランスのレモンイエローな蛍石。
正直目を見張るほど綺麗!という感じの物ではないのですが、昨年新産ということで買ってみました。
なんでも、少なくとも15世紀から操業していた鉱山だったものの1850年に閉山してからはアクセスできなくなっていたのが、去年露頭が発見されたんだとか。
こういう物に何とも弱いのです…。
詳しくは"Le regne mineral No. 107." に掲載されています(フランス語)