黒い森の蛍石(シュバルツバルト)
Clara Mine, Rankach valley, Oberwolfach, Wolfach, Black Forest, Baden-Württemberg, Germany
Miniature Sized
ドイツの有名どころ、黒い森・Clara鉱山の蛍石。
色は青、ナイルブルーぐらいの色あい。表面はマットな部分が多くはあるものの、ガラス光沢で透明なところから見えるゾーニングは素直に綺麗だなぁって言えるもの。
白い背景でライトをあてると、うっとりできる。
Clara鉱山自体が有名な鉱山ですが、ウォータークリアなもの、鉄分の影響なのか表面がオレンジ色になったものや、紫色、そしてこういった青、あるいはマイクロマウントで面白いフォトジェニックな共生をするものなど、色々なタイプの蛍石が知られています。
このタイプは2014年頃にわっと出回ったので、その頃に開いたポケットがあったのかもしれませんね。
そして現在でも稼働中の鉱山で、お金を払えば一部で採掘させてもらえるんだとか。うらやましいお話です。
(2018/5/4 編集)
Clara Mine, Rankach valley, Oberwolfach, Wolfach, Black Forest, Baden-Württemberg, Germany
15mm×13mm×13mm
Collected in 1978
Clara鉱山のサムネイル。
紫色の蛍石は分離結晶となっており、程よい透明感を備えた綺麗な紫色。一つだけ水晶が付着した面もあり、どこかしらスペイン・Asturiasの蛍石と似た雰囲気も漂ってきます。Clara鉱山で採れる蛍石のバリエーション豊富さが窺い知れます。
以前の持ち主はドイツのコレと同じ方。1978年採集品となっており、勿論ベルリンの壁崩壊が崩壊するよりも昔のため国名表記はBRD(ドイツ連邦共和国)になっています。歴史を感じられる標本にはニヤついてしまう人もきっと多いはず。
(7/31/2016)
Hesselbach Mine, Odsbach, Oberkirch, Black Forest, Baden-Wurttemberg, Germany
68mm×35mm×30mm
ドイツ・シュバルツバルトの古典的産地・Hesselbach Mineの水色蛍石。
それほど状態が良くないが、大きさはそこそこ。
水色とは言うものの光源によって印象が変わる気がします。
赤い母岩とのコントラストはかなりいい感じ。
Hesselbach鉱山自体は1959年に閉山しているとのことなので、流通量はやはり少ないです。この鉱山の蛍石は深青色のものが有名なのですが、中々思うように入手できず残念なところ。とはいっても、ドイツの業者なんかはちょくちょくこの産地のものを持ってくるのでないわけではないんですけれど…ね。
Erzengel Gabriel Mine (Gabriel Mine), Einbach valley, Hausach, Black Forest, Baden-Württemberg, Germany
65mm×65mm×30mm Largest = 7mm
Circa 2013~2014
これもまた黒い森の蛍石。
それと、鉄分のせいか黄色く色づいた水晶と緑鉛鉱が共生しています。
色合いは綺麗な青で、一つ一つは小さいですが群れを成した青と水晶の黄色、緑鉛鉱の緑と大変カラフルで美しいです。
こんな組み合わせもあるんだなぁ…
ちなみに裏側にも青い蛍石が沢山ついていたりするのですが、この母岩が大変脆く触っただけでポロポロと零れ落ちてゆくので扱いが大変難しい…のです…。
また、光源でカラーチェンジまでします。
このErzengel Gabriel Mineも青い蛍石で有名で元は18世紀に廃棄された鉱山らしいのですが、現在も採集が可能なのかちょこちょこ市場に出回る産地でもありなおかつ人気な産地でもあります。この産地の蛍石はClara鉱山などとは違いそれほど大きいサイズのものはほぼ出回りません。1㎝を超えると大きいと言えるのではないでしょうか。
なお、これは採集した人に頼んで直接日本まで送ってもらったものです。
St. Johann am Klosterbach Mine, Wittichen, Black Forest, Baden-Württemberg, Germany
25mm×24mm×23mm
Mined in January/2015
2015年初頭、新産の黒い森産蛍石。
黒い森と単純に言っても、よくあるClara鉱山やHesselbach鉱山ではなく、
St. Johann am Klosterbach 鉱山という聞いたことのない産地から遥々日本へとやってきたもの。
完全な結晶ではないですが、充分な透明感、鮮やかな水色を兼ね備えた結晶は見目麗しく、流石は黒い森といったところ。
ドイツらしく赤々しいヘマタイトが付着している面もあり、それもアクセントとなっています。
少々弱めですがゾーニングもあり、これで完璧な形だったらなぁとばかり思います。しかし出回っているものを見ると、完璧な結晶はほぼ/或は全くないようです。
手元にある他のBlackForestの青い蛍石と比べて見ると、よくあるHesselbachよりは色濃く、Claraの物より鮮やかでミルキーな色合いに映ります。
2015年の春先から少数この鮮やかな水色の蛍石が少数流通していますが、それ以前はさほど蛍石標本として国際的に流通していなかった産地と見受けられ、実際にMindat等には産地の記載がなくドイツ語で検索してやっとヒットするいった具合です。
また水色の標本と同時に、ほぼ無色透明クリアな結晶で一部に緑か紫がほんのりと散っているような標本も出回ってきています。
一時的な産出になるのか、これから流通量が増えていくのか、それとも少量ではあるものの流通し続けてくれるのか、見守っていきたいところです。
St. Johann am Klosterbach Mine, Wittichen, Black Forest, Baden-Württemberg, Germany
37mm×35mm×16mm
Mined in January/2015
これもまたSt. Johann am Klosterbach 鉱山の蛍石で2015年1月に産出したもの。
ただしよくある水色ではなく、無色系統のもの。無色系統も産出当時には幾らか出回っていたのですが、水色系統のものと違いあまり綺麗なものは見かけられなかったのです。
この標本は5mm程度の結晶で構成されていますが、緑や空色のニュアンスが含まれており清涼。
球状のヘマタイトの小さなインクルージョンもあり、さながらあんみつ系か。
ちなみに蛍石と関係なくヨーハンという名前には思いいれがあるため、エリカ鉱山とならんで名前が好きな鉱山。しかしここからはHesselbachのように5㎝を超えるような標本は出てこないようだ・・・
(2016/9/18)
Artenberg quarry, Steinach, Haslach, Black Forest, Baden-Württemberg, Germany
5cm tall
緑色で八面体の蛍石と鉄により赤味がかった方解石が共生するドイツの銘柄産地。
現役の片麻岩採石場ではあるものの採集禁止となってから久しく、今日では良品の入手は決して容易ではないのだ。良品は欧州の有名鉱物商でもとってもリッチなお値段。そして蛍石の大きさはあっても標本としての形が微妙だったりとか。なんにせよ現地のコレクターや蛍石コレクターなら一つは手元に標本を置いておきたい産地なわけです。
そして今回ようやく満足のいく標本に巡り合うことができました。この赤くとげとげした方解石と爽やかな青緑のコントラスト。これこそがArtenbergらしい、と言える標本でしょう。やったぜ。。
(2022/10/14 )