2013年のミュンヘンショー以降見かける機会が大幅に増えたイラン産の蛍石。その多くは青~紫色であり、方解石や重晶石、ウルフェナイトなどを伴います。 昨今見かけるようになった理由の一つには、イランの政情の変化があるのかもしれません。 もしそうだとしたら、グラスノスチ後にソ連からKaraObaなどの蛍石標本が西欧諸国に流入したのと似たシチュエーションなのかもしれませんね。 |
Komshejeh Mine, Komshejeh, Ardestan County, Esfahan Province , Iran
75mm×65mm×40mm
Mined c. 2014~2015
2013年のミュンヘンショー以来ここ数年間ホットなイランの蛍石。
少々暗めのブルーの蛍石と白い方解石(と元ディーラーは記載)のコントラストが綺麗な標本で、恐らく2014年度から2015年度にかけてでてきものと思われます。
蛍石の色合いは暗めのブルーとは書きましたが、少しバックライトを当てるとコバルトブルーに近い鮮やかな色合い。良く形容されるマリンブルーとはちょっと色合いが異なります。
またイランの青い蛍石でよくあるように紫が一部に交じっています。
この産地はMississippi valley-type(MVT)と言われるタイプで、ここでは重晶石や方解石を伴って蛍石が産出されるようです。
青い蛍石への人気と相まってか人気の産地となっている現状ですが、いつぐらいまで流通は続くのでしょうか。先行きが見えるようで見えない。
Komshejeh Mine, Komshejeh, Ardestan County, Esfahan Province , Iran
51mm×31mm×27mm
これもイランの蛍石。
13年ミュンヘンショーに現れて以来ずっと人気のあるもので、本鉱は14年デンバーショーに持ち運ばれたもの。
一部にうっすら水色が混じった綺麗なバイオレットで、マリンブルータイプの不透明な感じとは違いかなり透明感があります。プルプルのゼリーのような趣。ピーナッツのような色合いのバライトと共生しています。
高値の続くイランの蛍石ですが、西欧諸国によるイランへの制裁などでもあって流通しにくいというのもあったのでしょう。今後さらに関係性が改善され入手しやすくなると良いのですが・・・と思っていましたが先行きは難しそうですね。
(2017/1/30 編)
Hormuz Island, Hormozgan Province, Iran
14mm×11mm×9mm
近年何かと話題になっていたホルムズ海峡に位置する、ホルムズ島の蛍石標本。
八面体式の結晶は無色透明からごくごく淡いピンク色ですが、黒いヘマタイトのインクルージョンが多数あるため黒い八面体にしか見えません。渋い。中東という蛍石界としては未開の地方からの舶来品。
ホルムズ島の蛍石標本なんてそんなレアなと思われるかもしれませんが、ドイツ・ヴェルツブルグ大学の鉱物博物館に所蔵されていた標本をネット上で確認することができます。それらも無色にちかい八面体式の結晶であり、やっぱり一部に黒いインクルージョンが見受けられますし、1970年代に出版された本の記載を見ると蛍石がでるとは一言書かれていました。
(6/11/2016)