ペルーの蛍石
思い浮かぶのは、緑でしょうか?あるいは紫色?それともピンクの八面体でしょうか? そうどれもペルーの蛍石としてはよくある色と言えますし、ほかの国と見比べても遜色のない、あるいは優れた色・形・共生で蛍石コレクターを楽しませてくれます。
1980年代に産出したHuanzala鉱山のピンク蛍石は蛍石コレクターの一つのあこがれと言ってもよいでしょうし、Huayllapon鉱山を含むPast Buenoの水晶やマンガン重石と共生した緑~紫の結晶は今日の市場でも見かける機会の多いものではないでしょうか。 またMundo Nuevo鉱山の蛍石標本も見かけることがあります。 日本語に訳すると"新世界"鉱山、なんともらしいネーミングですね。
一方で幾つかの書籍にも記載されているように、ペルーの蛍石産地は往々にしてミスラベルや産地の混同が見受けられる点には注意が必要です。 |
Huanzala Mine, Huallanca, Bolognesi Province, Ancash Department, Peru
Miniature Sized
Mined c.1980-1981, Ex. Phil Martin Collection
蛍石コレクター垂涎のHuanzalaのピンク。しかもちゃんと八面体に淡く緑色のコア!
透明度、照りの良さ。閃亜鉛鉱や黄鉄鉱との共生。12面体式の結晶はピンクでも数あれど、これは1980年から81年にかけて世に出た、オリジナルの八面体式のピンク蛍石。
勿論これよりも良い標本は沢山知られています。しかし概してそういう標本は年季の入ったコレクターやとても裕福なコレクター、あるいは博物館のキャビネットの中にあるわけです。たとえばロサンゼルス自然史博物館とかね。 そういった環境ゆえにコレクターの放出を待つしかもうないわけで、一番好みのミニチュアサイズで均整のとれた標本が入手できたのはとても嬉しいものなのです、わかるでしょう?
このピンク蛍石のエピソードについては、故Rock Currier氏の秀逸な記載が紙面にあったりしますよね。きっと読み終えた頃にはあなたもHuanzalaのピンク八面体が欲しくて欲しくてたまらなくなっていることでしょう。
ただし一つだけ注意事項が、コアの緑は光にあたると経年で消退するといわれていたんですが……
実はこの手の標本を世に流通させた故Rock Currier氏が日光に当て続けて試してみたところ、緑色、退色しなかったという話もあるんですよね。
(2017/12/23)
Huanzala Mine, Huallanca, Bolognesi Province, Ancash Department, Peru
3cm tall
色鮮やかな蛍石の紫色と、黄銅鉱と黄鉄鉱の金属光沢がいい感じにかみあったタイプの標本。以前よりHuanzalaの蛍石に紫があることは知られていましたが、やはり緑色あるいはピンク色の標本が花形の鉱山ですから、紫色というのは今一つ影が薄いように思います。このタイプは2015年だったか2016年ごろからだったか。記憶が定かではありませんが、数年前からみかけるようになったはずです。微妙に方解石であったり、水晶がついていたりします。蛍石の結晶をもよく見ると面白いんですよね、純粋な菱型十二面体のものもあったり、八面体+十二面体という感じでしょうか。
なんにせよこれらの標本も、新たな産出がなければ、もう数年後には市場で見かけること滅多にないタイプの標本になってしまうんでしょうね。
(2020/8/7)
Huayllapon Mine (Huallapon Mine), Pasto Bueno, Pampas District, Pallasca Province, Ancash Department, Peru
Mined in March/2015
90mm×35mm×25mm
透明で白みのある水晶、そのトップにミント色の蛍石がのった標本。
形といい、色といいよい対比の見栄えの良いものです。 撮影する分にはミントカラーと白系統という組み合わせは難しいのですが。
透き通ったミント色の蛍石はもちろんですが、個人的には横に張り出した細い水晶の山々がツボです。蛍石の結晶はよく見ると角がHexoctahedronのmodification。ダメージではないのです。
Huayllapon鉱山はペルーの蛍石産地として有名なPast Buenoに存在し、1980年代から継続的に標本を世に送りだしているところです。
蛍石コレクターとしてはミントカラーの結晶をイメージしやすいかと思いますが、無色や紫のものも見かけます。そして菱マンガン鉱やマンガン重石、水晶の産地としても著名なところかと思います。
Huanzala?,Peru
Cabinet Size
Largest xl is 3cm
Photo by Kiyoshi Kiikuni
鮮烈な緑色が印象に残る蛍石です。
これまで知られてきたペルーの蛍石とは一線を画す緑と言えるでしょう。
2021年後半からこれららしきものが出現し、2022年のツーソンから本格的に出回り始めています。
当初産地はHuanzala鉱山との事でしたが、続いて産地はsecretとなり、現在ではCerro de Pascoと書いている業者もいますが、未だ確定しているとは言い難く、我々が本当の産地を知ることになるのはもう少し先になりそうです。
そして、その産地のあやふやさを考慮してもなお、コレクターの耳目を集めるほどの緑色だったということです。スウェーデン・Malmbergetやカナダ・Faraday鉱山の蛍石に匹敵するような色合いですからね。
ただ、結晶のダメージ具合は結構ピンキリなようで、形も美麗と言えるものはあまり数が多くなさそうです。
さてこの標本は黄鉄鉱が共生するタイプで、悪くないと思うです。でーん!
(2022/6/24)